山伏に扮した僧侶がホラ貝を吹き鳴らしながら、寺の住職が一番目の鐘を撞き鳴らす。その後から一般の参拝者が鐘を撞き鳴らすことができる。
除夜の鐘とともに新年を迎えると、本堂拝殿では、一番目の初参りを待っていた参拝者から、順番に新年の無事と平安を祈願する初詣が開始される。
かがり火を焚きながら参拝者を本堂に誘導。境内には、参拝者の長蛇の列ができていた。
真夜中の境内では、青年団による無料甘酒配りが始まり、初詣を終えた参拝者が列を作っていた。ホットコーヒーも無料で配られていた。
安楽寺は真言宗智山派の寺院。山号はは岩殿山。本尊は聖観音菩薩で板東三十三箇所11番目の札所である。
山門には寺院にもかかわらず、しめ縄が飾っている。これは、神仏混合時代のなごりと思われる。
「寛永年間創建の三重塔」
高さ34.3メートルの塔は、和風的な雰囲気をただよわせ江戸時代初期の特徴を現している。初重の内部には、「誕生釈迦尊像」を安置している。
「安楽寺の鐘楼(しょうろう)」
鐘楼は、寺院内にあって「梵鐘(ぼんしょう)」
を吊し、時を告げる施設であった。ヨーロッパでは、梵鐘は原則として教会の建物の一部に設置されている。
参道で、吉見観音名物「厄除けだんご」が売られている。このだんごを食べると1年間の厄落としができると言われている。
安楽寺(吉見観音)の近隣に国の史跡に指定されている「吉見百穴(よしみひゃくあな、よしみひゃっけつ)がある。これは、古墳時代後期の横穴墓群の遺跡である。
一年の迷いを除く夜!!
一年をしめくくる大晦日、除夜の鐘が吉見町の夜空に鳴り響いた。安楽寺(吉見観音)の除夜の鐘は、山伏に扮した僧侶がホラ貝を吹き鳴らしながら、寺の住職が一番目の鐘を撞き鳴らす。この後、一般の方々の並び順番に鐘を鳴らして新年を迎える。このとき拝殿では、初参りの順番を待っていた一番目の方々から初詣が始まる。去りゆく年の幕切れと、新しい年の幕開けとなる大晦日に、深夜0時の時間帯を挟み108回の除夜の鐘が撞かれる。除夜の鐘の起源は中国・宋の時代(そう、960〜1279年)、日本へは鎌倉時代に伝来されたと云われている。昭和2年(1927年)、上野・寛永寺より「除夜の鐘」の番組タイトルで、NHKがラジオによって初めて全国に中継放送された。現在は、「ゆく年くる年」で、日本各地の寺院にて除夜の鐘が撞かれながら年が明ける様子を全国に中継している。日本人は、宗教に対するこだわりが少なく信仰心が薄い民族と言われているが、日本人にとって除夜の鐘の音色は心を清め、穏やかにしてくれるものである。
吉見町は、埼玉県中部、比企郡に属する人口約2万人の町である。横穴古墳群「吉見百穴」があることで知られている。県内有数のイチゴ産地でもある。安楽寺は、真言宗智山派の寺院。山号は岩殿山。本尊は聖観世音菩薩で板東三十三箇所11番目の札所である。寛永元年に再建された本堂、寛永年間創建の三重塔、元禄15年再建の仁王門は県の文化財に指定されている。
撮影日: 2016年12月31日
撮影場所:板東札所第11番 安楽寺
住所:埼玉県比企郡吉見町御所374