鳥居の無い調神社

調神社

【さいたま市】

撮影日:2022年07月20日

鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「参道に鳥居が無い」

「調神社(つきじんじゃ)」と読み、地元からは「調宮様(つきのみやさま)」と呼ばれている。「調(つき)」と読む事により月待信仰と結びつき、月神の使いとされる「兎」を境内に狛犬ならぬ狛兎として境内に置ている。鳥居の無いのは、昔、伊勢神宮に武蔵野の穀物を奉納するとき、鳥居が運搬の邪魔になったので取り外されたと伝えられている。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「手水舎」

手水舎(ちょうずや)の吐水口も兎の姿である。兎の口からチョロチョロと水が出ている。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「本殿」

現在の本殿は、安政6年(1859年)9月に再建されたもので、本殿、幣殿、拝殿が連続する複合社殿で「権現造(ごんげんづくり)」と言われる日本の神社建築様式である。同じ様式造りに「日光東照宮」「京都北野天満宮」などがある。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「神楽殿の奉納和太鼓演奏」

神楽殿では、神社例大祭の奉納行事の一つで、華麗な和太鼓演奏が披露された。日本神話にてアマテラスが祠(岩戸)に隠れると言ったエピソードがある。その際に、アメノウズメがアマテラスをもてなすために裸で踊ると、世の中が明るくなったと云われている。古代から、踊りや催しは現代に連なる祭り(例大祭)とされている。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「旧本殿・稲荷神社」

境内の旧本殿・稲荷神社には鳥居がある。調(つき)神社旧本殿(市指定文化財)は、享保18年(1733年)に建立されたものである。新本殿建設の際に現在地に移設され、稲荷神社として祀られている。平成29年(2017年)に修理が完了し、ガラス張りの覆屋(おおいや)の外から見学できる。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「境内の神池」

境内に綺麗に整備された「神池」調(つき)神社らしく、兎の石像が水を注いでいる。池の奥に旧本殿・稲荷神社の鳥居が見える。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「調宮天神社と金毘羅神社」

境内に「調宮天神社(つきのみやてんじんさま)」(手前)と「金毘羅神社(こんぴらじんじゃ」が並んで鎮座している。調宮天神社は学業成就・書道上達の御利益があるといわれ、兎の絵馬が掲げられている。金比羅神社は古来より海の神様、五穀豊穣、商売繁盛など広範な神様として信仰を集めている。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「長谷川かな女の句碑」

長谷川かな女(はせがわ かなじょ)は、大正期を代表する日本の女流俳人。本名はカナ。40年余り浦和のこの調神社の近くに居住し、旧浦和市民と埼玉県民の教養の向上と文化活動の普及発展に寄与した。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「調神社の欅」

調(つき)神社境内外(北側)の旧中山道と脇道の交差する場所に、樹齢約500年、幹周り約7.5メートル、樹高約28メートルのひときわ目立つ欅(ケヤキ)がある。巨樹であるが、近年衰えて面影がなくなってきた。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま

「日蓮上人駒つなぎの欅」

日蓮が佐渡へ流(流刑)される途中、名主青山家の妻女が難産にて苦しんでいたので、境内外(南側)の欅(ケヤキ)に駒(元気な馬)をつなぎ、安産祈祷をしたところ、程なく、楽に男子が誕生したと伝えられている。この欅は神木として、安産守護の信仰を集めている。


鳥居の無い調神社を動画でご覧ください。


鳥居を設けていない神社

神社を参拝するとき、まず鳥居の前で一礼をしてから鳥居をくぐるが、ところが「調神社(つきじんじゃ)」には鳥居が無い。神社の説明看板等によると調神社の「調(つき)」とは、伊勢神宮に納める「貢ぎ物(調)」のことを示す。武蔵野で収穫された米を貯蔵する倉庫群の中に調神社が鎮座していたため、伊勢神宮に奉納する貢ぎ物を搬入、搬出の作業に妨げになる神門・鳥居が取り払われ、今に至っている。本来、鳥居は神社の内と外を分ける境に立てられ、鳥居の内は神聖な神域とされている。調神社には鳥居がないので、代わりに、「石柱(門)」が立っている。

「調神社」の祭神は、「天照大神(あまてらすおおみかみ)」「豊宇気姫命(とようけびめのみこと)」「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」の三柱である。今からおおよそ1800年前の第10代 崇神天皇(すじんてんのう)の勅命により創建されたと伝えられている。現在の社殿は安政6年(1859年)に再建された。調神社の「調(つき)」の名が、月と同じ読みであるところから、月影模様の「兎(うさぎ)」が神の使いとされ、中世の「月待信仰(月の出を待って祈る信仰)」の広がりと結びつき、江戸時代には「月読神社(つきよみじんじゃ)」とも呼ばれていた。現在も社殿や境内に兎の石像や彫刻、絵馬などが飾られている。


鳥居の無い調神社【埼玉県さいたま市】 | フォトさいたま


撮影日:

撮影場所:調神社

住所:さいたま市浦和区岸町3-17-25